STILLLIFE アトリエテーブル
”two by two” について。

二枚の天板と、二脚の脚が 「 支え合って」構成された特徴的なフォルムから連想し
このテーブルを ”two by two” と名付けました。

平成30年6月28日から7月8日にかけてに発生した西日本豪雨災害。

今回のプロジェクトは、クリエイターとして活動する武蔵野美術大学の團上 祐志と古舘 壮真、
大洲の復興に向けて活動を続けている高校生、吉田 アンドリューを中心に、
大洲市の企業や市民の方々と共にあります。

直接交わることのなかった人たちが共存し、隣り合い、そして向かい合うことで、
過去になかった多様性のある制作プロセスが生み出されたという意味も”two by two”には込められています。

”two by two” は脚と天板、計4パーツの全てが関係し合うことで成り立っており、

この「支え合って立っている」構造を復興の心情的イメージとして強く心に刻んでいます。

”two by two” の特徴

被災した木材を活用


木材の幅に合わせたアトリエテーブルのデザイン。 浸水した木材が大量にあるという点、ワーク用テーブルとしての収納の必要性などの点から、天板を二枚使用する提案、結果、自重関係で自立する特徴的な構造になりました。

プロダクトとしての価値


①独創性と機能性を両立したデザイン
②現地の職人による高い加工の技術
③大洲市民の方々とが直接手を加えることで生まれた一つ一つの風合い

これら3つが丁度良いバランスで噛み合うことでプロダクトとしての特別な価値を生みました。

組み立て易さ&運搬性


交通が完全に復旧していない状態の中、チャリティー活動として作ったものが運搬を少しでも圧迫しないように、 パッケージをコンパクトに設計。また、折りたたみ式で使いやすい構造になっています。組み立てる際に止め具を必要としません。

”two by two” ができるまで

01

西日本豪雨における大洲市の課題


大洲市の肱川が氾濫し、いまだかつてない規模での浸水被害が発生しました。 2200件以上床上浸水、各地での土砂崩れが起こり、多数世帯の断水と交通網の切断が起こりました。大洲市全体はもちろん愛媛県全体で今もなお復旧が行われ続けています。

□材木業が盛んである大洲市の木材関係業者や建設会社が軒並み被災し、保管していた木材が浸水。

□浸水したり泥をかぶってしまった木材は、廃棄されるか、廉価で処分されるしかない。

□災害が風化していく中で義損金が集まりにくくなっていく。

02

浸水木材の再利用


数千枚にもおよぶ破棄するしか選択肢のない木材を譲りうけました。

ほとんどの木材に歪み、カビ、破損が発生しています。少しでも水を含むと建材には適合できません。

□再利用な材を選定し家具に再生させる。

□傷跡を加工跡にすることでプロダクトそのものに被災を風化させない役割を持たせる。

□被災した家は取り壊される。 家具だけでも思いを繋いでいきたい。 (0か1かではない。)

03

再生ワークショップ・削り、研磨


□浸水により発生した表面のカビをグラインダーで除去します。(事前の作業で消毒と天日干しの作業を経ています。)

□サンダーで全体の磨きをかけます。

□毛羽立ちやザラついた凹凸を滑らかに仕上げます。

04

塗装、乾燥


仕上げの塗装です。

ワトコオイルやブライワックスで表面を塗装します。

塗装したら、風通しの良いところで自然乾燥します。

05

完成


大洲市の市民の方々、有志15人の皆様と15台の天板を作り上げました。

今回のワークショップの一連の活動は 愛媛新聞、読売新聞、ならびにテレビ愛媛、NHKなど多数のメディアに取材を受けることとなりました。

※プロジェクトの詳細は順次別サイトにアップしていきます。ご期待ください。

制作者紹介

團上 祐志(だんがみゆうし)

1995年生まれ、愛媛県松山市出身
画家・美術家 STILLLIFE代表
武蔵野美術大学油絵科油絵専攻4年・KUMA財団2期生

国内外で展示会多数、作家業の一方でアーティストインレジデンスを軸に文化のサスティナビリティをテーマに掲げた株式会社STILLLFE を起業する。
2018、2019年ニューヨークにて個展開催予定。

コメント
「先ずは、西日本豪雨で被災された皆様のご心痛を察しますと共に一日も早い復興の日が迎えられますことを心よりお祈り申し上げます。 東日本大震災の時に突きつけられた美術に一体何ができるのかという問いに対する一つの態度が表せたのかもしれません。「使えないものは使えない。新しく作るしかない。」の中で 丹念に考えと対話を重ね、ただ壊す、作るではない中間的なアクションを生み出すことはできないでしょうか。 浸水した木材を家具に再生する。この取り組みが、少しでも大洲市の前向きになれる出来事の一つになることを願っております。ネガティブなニュースだけで終わらすわけにはいかない。 美しい大洲市の風景が取り戻されますように。」

https://www.dangamiyushi.com/
古舘 壮真(ふるたてそうま)

1995年生まれ、愛知県出身
インテリア・プロダクトデザイナー
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科インテリアデザイン専攻4年・KUMA財団2期生

素材そのものの鮮度を大切にしながらも、人・物・空間への効果的な造形表現を重視し、素材がもたらす新しい機能や価値観を生み出す可能性を探る。 2018年よりフリーランスでの活動を開始し、企業とのプロジェクトをはじめ、ニューヨークやオランダなど、複数のライブラリーに作品が収容されている

コメント
「コンセプトにあるように、本当に沢山のストーリーや思いを込めてデザインをしました。その中でも特に、"水没した材"というマイナスの事実を、大洲の方々が直接加工することで生まれた表情によってプラスに変えられたことは、プロダクトとしての高い価値を生んだと思います。 そして、現地でプロジェクトを進めていく中で、復興を目指して団結する大洲の方々のパワーを肌で感じました。僕自身も、デザイナーとして少しでも復興の力になれることを願うと共に、大洲市の1日でも早い復興を祈っています。」

https://www.sohmafurutatedesign.com/
吉田 アンドリュー(よしだあんどりゅー)

2001年生まれ、愛媛県西予市出身
ヒッチハイカー ・旅人・高校生

災害ボランティアとして大洲市で活動。
”被災地で一番動ける高校生”として、個人でクラウドファンディングを立ち上げ60万円を調達。
男子高生ミスターコンテスト2018出場。 中国四国エリア セミファイナリスト。

コメント
「大洲市で被害を受けた全てのものに光が射して欲しいと思っています。
浸水した木材がただ廃棄されるのではなく、新しく生まれ変わり、必要な人に使ってもらえる。その過程のお手伝いが出来て良かったです。
大洲市を知ってる方も知らない方も、沢山の方に使っていただきたいです。」
井上 陽祐(いのうえようすけ)

1986年生まれ、愛媛県大洲市出身
大洲市地域おこし協力隊・地域DMO一般社団法人キタ・マネジメント事業課長

九州大学卒業後、総合商社双日に入社。主に外国人採用を担当。
2017年より現職。本プロジェクトの総指揮を務める。

コメント
「僕の故郷の大洲市が今回未曾有の豪雨被害に会いましたが今は復旧から復興へ向かってます。色々なものが流されましたが大洲の人の温かさや根性は流されてません。これからも大洲市民一丸となって復興をしていきます。」

皆様へ



”two by two” の売り上げの30%を大洲市の復興のための義捐金とします。


”two by two” のコンセプト「支え合って立っている」

この言葉を大切にしていきたいです。


実現にあたり、伊予木材様、伊大建設様、丸山建設様、場所をお貸しくださったDCMダイキ様、大洲市役所様、 多くの大洲の企業のご協力あって、この日を迎えることができました。感謝し尽くせません。
遠くの方にまでこの机と想いが届きますことを心より願っております。

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